トラップ、律速、ドラフト・・・あなたはいくつわかる?化学者がつい使ってしまう言葉

 

昨日書いた記事の中で、何気なく「トラップ」という言葉を使っていました。

「元船乗りのおじさんにトラップされる」と。

これ、書いてから思ったのですが、みなさん意味わかりますでしょうか。

元記事はこちら:海鮮屋台おくまん で 名物おくまん盛りを喰らう(東京メトロ東西線・都営大江戸線 門前仲町駅)|Intentional Life

「トラップ」とは実験器具

化学実験におけるトラップというと、こういうの。

シリコンチューブをつないで、ガスの通りみちに接続します。

用途としては、つないでいるフラスコ本体から液体が逆流してもここで捕捉されるよう、リスク対策。

もう1つは、こういうデュワー瓶(耐熱容器)↓にドライアイスとアセトンを入れて

ここにトラップを入れて冷やしてあげることで、揮発成分を液体または固体にして、外に出て行かないように捕捉。

このような使い方を動詞化して「トラップする」と言います。

化学者的「トラップされる」の意味

で、件の「トラップされる」ですが、なんとなくわかりますよね。

要は「人につかまる」ことを言います。声をかけられ引きとめられて、なかなか抜けさせてもらえないやつ。

ニュアンスとしては、ちょっとネガティブ。

好ましく思っていない人に声をかけられたり、急いでいるのに長々と話をされたりする感じ。

「帰ろうとしてたのに上司にトラップされてさ~」

みたいな感じの使い方です。

オットくんに通じなかった「律速」

ついでなので、他にも、独特かなと思う言葉を挙げてみます。

まずは「律速」。

これ、辞書にも乗っている言葉なので特別だと思っていなかったのですが。

ある休日、夕食の仕込みをしたら散歩に出かけようとちょっと急いでいた時。

「この肉を焼くのがリッソクだから、他が終わったらすぐ行けるよ」

これがオットくんに通じなかったんです。

正しくは「律速段階」の「段階」を省略したもので、化学反応が複数の段階を経て進むときに最も遅い段階のことを言います。

転じて、複数の工程・作業の中で一番時間がかかるものを「律速」と言っています。

たとえば、みんなで作業をしていて早く終わりたい雰囲気の時に

「もしかして、私が律速になってる?ごめん!」

とか。

いまどきは「ボトルネック」と言えば通じるかもしれません。だいたい同じです。

化学者あるあるネタはみんな大好き

この手のネタ、有機化学の世界では有名なwebサイトにも取り上げられていました。

 化学者と一般人で意味の違う言葉|有機化学美術館・分館

ここで紹介されているのは以下の5つ。

  • ドラフト
  • ベース
  • ビニール(ビにアクセントを置いて、ビニルと発音)
  • TBS
  • 有機

まだまだ他にもありますよー。

  • JOC

有名化学雑誌 Journal of Organic Chemistryのこと。

一般には日本オリンピック委員会(Japan Olympic Committee)。

  • マス

質量分析(Mass Spectrometry)のこと。

書くときはMSと表記。

一般には、升、鱒、大衆、など?

まとめ

楽しんでいただけたでしょうか?

また思い出したら記事にします。

 

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投稿者プロフィール

芽瑠(める)
都内在住アラフォー企業研究者。職場の人間関係に悩んだ経験から、「自分らしさ」「自己肯定感」を模索する日々。特技は料理。長年の不定愁訴を解消すべく分子栄養学と結び付けて健康で美味しい食生活を目指している。好きなモノは美味しいものとオットくん。趣味は旅行と山歩きと飲み歩き。♦ Facebookページ ♦ Twitter